脳細胞が破壊され、減少していくことによって物忘れが進行し、これまでは1人でできていたこと(洗顔、排泄、入浴、着替え、料理など)が次第にできなくなっていく病気です。高齢者の病気で年齢が高くなるほど発症率が増加し、65歳以上の6%、75歳以上の10%、85歳以上の20%、90歳以上の36%の人が認知症を発症します。
主な認知症の原因を挙げます。
認知症の約60%を占め、脳内に異常蛋白質(βアミロイド蛋白)が蓄積、脳細胞を破壊します。
物忘れから始まり、次第に記憶障害が進行。日時を間違えたり、数分前の自分の言動、行動を忘れ、何度も同じ質問をする、食事を摂った事を忘れる、火の不始末などといった日常生活上に支障をきたすようになります。
時に幻覚、徘徊、暴言、暴力などもみられることがあります。
認知症の約10%を占めます。脳血管性障害(脳出血、脳梗塞)の直後に発症します。
病変部位の脳細胞が破壊され、手足の麻痺をきたします。物忘れ、生活能力の低下がみられるようになります。
認知症の約10%を占めます。脳内に異常蛋白質(レビー小体)が蓄積して、脳細胞を破壊することで、発症します。
初期には物忘れは目立たず、人などの幻視、小刻みの歩行、転びやすくなるなどの症状がみられ、進行と共に物忘れがみられるようになります。
物忘れ、幻覚妄想状態、暴言、暴力などの症状は認知症以外の様々の病気でもみられるため、問診の他、心理テスト、血液検査、頭部画像検査(MRI)を行い、認知症と他の病気との鑑別が必要となります。
認知症に伴う中核症状(物忘れ、判断力の低下、日時や場所がわからなくなったり、道に迷う)に対する根治的治療法はありません。
中核症状に対して塩酸ドネペジル(アリセプト)が使用されることがありますが、効果は1,2年程度で、認知症の進行を防ぐことはできません。
周辺症状(幻覚、妄想、暴言、暴力行為、徘徊などの精神症状)に対しては薬物治療法を行うことで症状を緩和することが可能です。
現在では、認知症の進行を遅らせるための治療として、リハビリテーションが主流となっています。
リハビリテーションには当院外来を受診、診察を受けた上で介護保険を申請した上で、患者様の居住地域にある施設にて行われているデイケア、デイサービスへ通所する方法、あるいは、当院外来にて診察の上当院認知症デイケアへ通所する方法があります。
認知症に伴う症状のため、自宅や施設での生活が困難になった場合は、当院認知症治療病棟にて入院治療を行うことができます。
入院治療として薬物療法やレクリエーションを行うことで精神症状を緩和し、3ヶ月程度で自宅への退院あるいは施設への入所を目指しています。
認知症の根治治療がない以上、進行を完全に止めることができません。
患者様によって個人差がありますが、5~15年かけて次第に身体機能が低下、重度の認知症となり、最終的には寝たきりの状態となり、肺炎などの身体合併症を併発し、死亡することが多いです。
介護保険を申請して、デイケア、デイサービスへの通所が、あるいは精神科公費負担制度を利用することでの重度認知症デイケアへの通所が可能となります。
認知症になった方の治療と同時にご家族の介護が適切に行えるようアドバイスも行います。
月~金の午前の精神科外来を受診して下さい。早期に認知症を発見して適切な治療をおこないます。
認知症になった方のためのデイケアです。
認知症専門医師・作業療法士・看護師・認定症ケア専門士・介護福祉士など認知症専門スタッフが認知症の方によりよいサービスを提供しています。